2011年11月26日土曜日

シンポジウムで外国の専門家の移動に要したエネルギーの見積り


シンポジウム「震災復興に省エネ住宅は役立つか」に招聘したスウェーデン・ルント大学の専門家には、コペンハーベン ー 東京間を直行便で往復してもらったので、その分のジェット燃料(主成分は灯油)が消費されたはずだ。
を参考にすると、ジャンボジェットなら片道7000kmで1人当り約12万リットルの燃料を消費する。往復14000kmだと1人当り約24万リットル。
簡単のために、ジェット燃料≒灯油≒原油とすると、
1原油リットル=約10kWhなので、240万kWh (1次エネルギー換算)を消費した。
(ジュール[J]への変換より覚えやすい。ジュール表示にするに
は、
...
1[Wh]=3600[J]で再度変換する。)

以上の消費エネルギーを電気製品のエネルギー消費と比べてみる。
会場の照明が32W型蛍光灯40本分だったとする。電力の発送電
効率を約3割(つまり7割が損失)として、燃やした1次エネルギーは、
32W × 40本 ÷ 3割 ≒ 4000kW
となるから、会場に2400時間いた時の照明の電力量と同じくら
いだということになる。
シンポジウムは4時間だったので、ジェット機での往復に要したエ
ネルギーは、会場の照明に使われたエネルギーの約600倍となる

来年からは、ウェブ会議を活用することも検討したらどうだろうか?
もっとも、来年のノルウェー・ウィークで省エネ関係のシンポジウ
ムをやるかどうかはわからないが。

GDPにカウントされないもの ―社会関係資本―

前稿で、土地や金融資産の取引高はGDPに含まれていないと述べた。
ただ、国民経済計算体系の貸借対象表や資金循環勘定では補足さているのかもしれない。
(こんなこともまだ確かめていなところからしてシロートなのだが。)
しかし、GDPにカウントされない、否、国民経済計算体系では補足できないものは、たくさんあるのだ。
例えば、社会関係資本(人間関係資本)の増減は、GDPにはカウントされない。
そして、日本の社会関係資本は他のOECD諸国とくらべて少ない

また、働けない人に対する考え方がひどい。

"What the World Thinks in 2007: The Pew Global Attitudes Project"
というアンケート調査によると
「働く能力のない人が生活に困っても政府は援助する必要はない」と言う設問にYESと答えた日本人が何と38%もいるというのだ。
米国ですら28%、他の先進国は10%以下だそうだ。ブラジルや中国でもやはり少ないらしい。
(出典:波頭亮氏の日経BPオンラインの記事
「成長論」から「分配論」を巡る2つの危機感 ―自力で生活できない人を政府が助ける必要はない!?―」
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20111114/223822/?rt=nocnt)
日本はこんな国で本当によいのか!
自殺者が多いこととも関係があると思われる。

イタリアは、今かなり大変なことになっている国だが、失業した人を親類縁者が面倒を見るという社会習慣があるときく。超競争社会の米国でも、キリスト教会などが提供するセーフティ・ネットがある。

戒律型宗教のない日本だが、「社会関係資本」の形成について、根本から考え直す作業を皆が行なう必要があると思う。
「ソーシャル・カフェ」と銘打って実施してみてはどうだろうか?

量的緩和は本当に有効か?

「土地や金融資産の取引高はGDP(=実物経済取引高)に含まれない!」 
(こんなことも知らずに、最近経済学を勉強しています」といっていた自分が恥ずかしい。)
昨今ではいくら貨幣を発行して量的金融緩和をしても、マネーは資産市場に流れやすい。
量的緩和は、資産インフレは起こしても、一般物価のインフレや(名目)GDPの成長はそう簡単には実現できないという、疑念がよぎる。
リフレ派の方々には、この点について、確度の高い証拠を示しつつ答えていただきたいと思う。

量的緩和がGDP成長につながらないとする論客の中で定量的議論に強いのは水野和夫氏(管内閣の経済アドバイザー)。一方、リフレ派の中で定量的議論に強いのは高橋洋一氏(小泉内閣で竹中平蔵氏の知恵袋。)
この二人に直接バトルをやってほしい。おそらく原発問題よりも早く意見が収束すると思われる。
量的緩和の効果としては、リチャード・クーが指摘する、企業の「バランスシート不況」の解消が挙げられるだろう。企業の保有する金融資産や土地資産価格が下がると、利益が出ても負債の圧縮に当てられ、設備投資(実物)する余裕がなくなる。従って、量的金融緩和によって資産価格を上昇させれば設備投資が増えるだろう、というわけだ。(※)
しかしながら、水野和夫の指摘によると、日本企業が戦後から90年代までに銀行から受けた貸し出しの総額は、すでにキャッシュフローによる返済が不可能な水準に達していた(『100年デフレ』123頁)。これが本当だとすれば、これまでの量的緩和で企業のバランスシートが回復しきったのかどうか疑問がある。とすれば、あとどのくらい量的緩和を行えばよいのか、その金額には不確実性がかなりあることになる。
リフレ派には、量的緩和の具体的な額と継続年数を不確かさ付きで示してほしいところだ。
(お前は何様のつもりか、と言われてしまいそうだが)。
ところで、FRB議長のバーナンキの狙いは、企業のバランスシート調整にとどまらない。リスクの高い資産を買い取ることによって、資産投資への不安を解消しようというものだ。 
金融・サービス業が中心く、かつドルが基軸通貨である米国と違って、財の生産で稼ぐ企業にエクセレント・カンパニーが多く、かつ円が基軸通貨でない日本では、この手は使えないだろう。 
 ただし、オリンパスの例を見ると、「エクセレント・カンパニー」と呼ばれている企業が、本当にエクセレントなのか疑わしくなってくるのではあるが。  
 負債が多いからと言って、バランスシートをごまかすことは絶対にしないで欲しいと思う。日本全体での負債総額の値が信用できなくなる。
 現状を正確に把握できなければ、再生もない。


(※)
Wikipedia「リチャード・クー」の記事の「バランスシート不況」の項では、次のように「資産デフレスパイラル」として説明されている。
「・・・負債圧縮、借金返済のために資産の売却や設備投資の縮小が行われ、これが更なる資産価格下落や景気の悪化を呼び、企業のバランスシートを悪化させる。そしてこのことが更なる負債圧縮、借金返済を迫り、資産価格の下落や景気悪化をもたらすという悪循環が起きる」
(11月30日追加)

2011年11月22日火曜日

原子力・エネルギー政策の議論が4委員会で正念場を迎えています

「マル激トーク・オン・ディマンド」の神保哲生氏によると、
エネルギー政策をほぼ決定する、国家戦略室コスト等検証委員会や総合資源エネルギー調査会・基本問題検討委員会など4つの委員会で、議論が正念場を迎えており、このままでは従来の延長の方向で事が決まってしまいそうだ、ということです。
11月19日のニュース・コメンタリーで、大島堅一教授の出席しているコスト等検証委員会の模様とその解説が無料で放送されています。
 
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002158.php

是非ご覧いただき、内容に賛同なさった場合は、拡散・流通をお願い致します。

(なお、私は videonews.com の関係者(回し者)ではありません。このまま、きちっと議論がなされないまま、事が決まってしまうことに納得がいかないだけです。)

2011年11月14日月曜日

東京工業大学"Sweden Week"シンポジウム「震災復興に省エネ住宅は役立つか」(11月24日(木)14時~)のお知らせ

シンポジウムへの参加のお誘いです。
なお、お知り合いに関心のありそうな方がいらっしゃいましたら、このメールを転送していただけると幸いです。

東京工業大学大学院社会理工学研究科では、「北欧との連携」というプロジェクトを実施しています。その一環として、来たる11月21日~25日の週を "Sweden Week" と称し、様々なイベントを実施します。
24日(木)のシンポジウムでは、省エネ建築が震災復興とエネルギー問題に果たすであろう役割について、被災地市民と日本・スウェーデンの専門家を招いてディープな議論を行います。
より詳しい内容は、下記の【シンポジウム概要】をご覧ください。

ご関心のある方の参加をこころよりお待ちしております。


シンポジウム「震災復興に省エネ住宅は役立つか
        ―被災地域市民とスウェーデン・日本の専門家による討議―」
日時:   11月24日(木)14:00-18:00
場所:   東京工業大学大岡山キャンパス 西9号館2階 ディジタル多目的ホール
参加申込: おおよその人数を把握したいので、「Sweden Week 事務局」まで、お名前と連絡先を
明記のうえ参加申込をお願い致します。会場に余裕がある場合は、当日参加も歓迎致します。
Sweden Week 事務局: swedenweek@gmail.com (電話 : 03-5734-2267)
ホームページ: http://www.dst.titech.ac.jp/event/sw/Day4.html

コーディネーター:
東京工業大学GCOE「エネルギー学理の多元的学術融合」特任助教 詫間直樹
パネリスト:
東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻 教授 吉野博
ルント大学 Energy and Building Design部門 部門長 Maria Wall
岩手県大船渡市三陸町越喜来地区 震災復興委員会 事務局長 鈴木健悦
ワンプラネットカフェ共同代表・環境コンサルタント Peo Ekberg(ぺオ・エクベリ)

【シンポジウム概要】
 東日本大震災を受けて、被災地域をエネルギーの供給利用の先進モデル地域にすることが提案されてきました。例えば東日本大震災復興会議の提言では、省エネルギー、再生可能エネルギー、蓄電、熱電併給などの手段を組み合わせて、災害に強くエネルギー効率の高い自立・分散型エネルギーシステムを構築することが提案されています。
 再生可能エネルギーについて、固定価格買取制度の導入が決定し、釜石市のように具体的な計画が進んでいる地域もあるのにくらべると、省エネルギーは出遅れている感が否めません。ようやく最近になって、住宅の断熱改修などを街全体で進める省エネルギー事業を検討する旨が、国土交通大臣によって表明されたところです。
 日本のエネルギー需要の約3割は家庭やビルなどの建物において消費されているので、断熱化や太陽熱利用などによってエネルギー使用量を大きく削減する「省エネ建築」の手法がたいへん有効です。被災地では、数万個の復興恒久住宅を供給する必要があると推計されていますが、これらを「省エネ建築」の手法で建てることは十分検討に値することではないでしょうか?
 また、被災地で省エネ建築が普及すれば、全国の新築とリフォーム(いずれも毎年30万件程度)の動向にも影響を与えるでしょう。その意味で、震災復興住宅を省エネ建築とするかどうかは、今後の日本の省エネ動向をうらなう試金石となるでしょう。

 本シンポジウムでは、省エネ建築(省エネ住宅)の諸技法によって具体的にどの程度のエネルギー使用量が減らせるのか、費用はどの程度かかるのか、また、そもそも居住者は省エネ住宅を望むのかどうか、といった重要な問題について、パネリストの皆さんに議論していただきます。
 パネリストは、専門家として、日本の省エネ建築の第一人者である東北大学の吉野博教授と省エネ住宅の先進国であるスウェーデン・ルント大学の研究者Maria Wall氏をお招きしています。また、住み手の考え方や行動が住宅の機能達成に大きな影響を与えることを踏まえて、被災地市民の代表として岩手県大船渡市三陸町越喜来地区震災復興委員会の事務局長を務める鈴木健悦氏、および、日本のマンションを購入しエコ改修を実施した、スウェーデン人環境コンサルタントのPeo Ekberg氏に、住み手の目線で議論に加わっていただきます。

 プレゼンテーションが約2時間30分、それを踏まえたディスカッションが1時間弱という長丁場ですが、ご関心・ご興味のある方の参加をこころよりお待ちしています。