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2011年11月26日土曜日

シンポジウムで外国の専門家の移動に要したエネルギーの見積り


シンポジウム「震災復興に省エネ住宅は役立つか」に招聘したスウェーデン・ルント大学の専門家には、コペンハーベン ー 東京間を直行便で往復してもらったので、その分のジェット燃料(主成分は灯油)が消費されたはずだ。
を参考にすると、ジャンボジェットなら片道7000kmで1人当り約12万リットルの燃料を消費する。往復14000kmだと1人当り約24万リットル。
簡単のために、ジェット燃料≒灯油≒原油とすると、
1原油リットル=約10kWhなので、240万kWh (1次エネルギー換算)を消費した。
(ジュール[J]への変換より覚えやすい。ジュール表示にするに
は、
...
1[Wh]=3600[J]で再度変換する。)

以上の消費エネルギーを電気製品のエネルギー消費と比べてみる。
会場の照明が32W型蛍光灯40本分だったとする。電力の発送電
効率を約3割(つまり7割が損失)として、燃やした1次エネルギーは、
32W × 40本 ÷ 3割 ≒ 4000kW
となるから、会場に2400時間いた時の照明の電力量と同じくら
いだということになる。
シンポジウムは4時間だったので、ジェット機での往復に要したエ
ネルギーは、会場の照明に使われたエネルギーの約600倍となる。

来年からは、ウェブ会議を活用することも検討したらどうだろうか?
もっとも、来年のノルウェー・ウィークで省エネ関係のシンポジウ
ムをやるかどうかはわからないが。

2011年11月22日火曜日

原子力・エネルギー政策の議論が4委員会で正念場を迎えています

「マル激トーク・オン・ディマンド」の神保哲生氏によると、
エネルギー政策をほぼ決定する、国家戦略室コスト等検証委員会や総合資源エネルギー調査会・基本問題検討委員会など4つの委員会で、議論が正念場を迎えており、このままでは従来の延長の方向で事が決まってしまいそうだ、ということです。
11月19日のニュース・コメンタリーで、大島堅一教授の出席しているコスト等検証委員会の模様とその解説が無料で放送されています。
 
http://www.videonews.com/news-commentary/0001_3/002158.php

是非ご覧いただき、内容に賛同なさった場合は、拡散・流通をお願い致します。

(なお、私は videonews.com の関係者(回し者)ではありません。このまま、きちっと議論がなされないまま、事が決まってしまうことに納得がいかないだけです。)

2011年11月14日月曜日

東京工業大学"Sweden Week"シンポジウム「震災復興に省エネ住宅は役立つか」(11月24日(木)14時~)のお知らせ

シンポジウムへの参加のお誘いです。
なお、お知り合いに関心のありそうな方がいらっしゃいましたら、このメールを転送していただけると幸いです。

東京工業大学大学院社会理工学研究科では、「北欧との連携」というプロジェクトを実施しています。その一環として、来たる11月21日~25日の週を "Sweden Week" と称し、様々なイベントを実施します。
24日(木)のシンポジウムでは、省エネ建築が震災復興とエネルギー問題に果たすであろう役割について、被災地市民と日本・スウェーデンの専門家を招いてディープな議論を行います。
より詳しい内容は、下記の【シンポジウム概要】をご覧ください。

ご関心のある方の参加をこころよりお待ちしております。


シンポジウム「震災復興に省エネ住宅は役立つか
        ―被災地域市民とスウェーデン・日本の専門家による討議―」
日時:   11月24日(木)14:00-18:00
場所:   東京工業大学大岡山キャンパス 西9号館2階 ディジタル多目的ホール
参加申込: おおよその人数を把握したいので、「Sweden Week 事務局」まで、お名前と連絡先を
明記のうえ参加申込をお願い致します。会場に余裕がある場合は、当日参加も歓迎致します。
Sweden Week 事務局: swedenweek@gmail.com (電話 : 03-5734-2267)
ホームページ: http://www.dst.titech.ac.jp/event/sw/Day4.html

コーディネーター:
東京工業大学GCOE「エネルギー学理の多元的学術融合」特任助教 詫間直樹
パネリスト:
東北大学大学院工学研究科 都市・建築学専攻 教授 吉野博
ルント大学 Energy and Building Design部門 部門長 Maria Wall
岩手県大船渡市三陸町越喜来地区 震災復興委員会 事務局長 鈴木健悦
ワンプラネットカフェ共同代表・環境コンサルタント Peo Ekberg(ぺオ・エクベリ)

【シンポジウム概要】
 東日本大震災を受けて、被災地域をエネルギーの供給利用の先進モデル地域にすることが提案されてきました。例えば東日本大震災復興会議の提言では、省エネルギー、再生可能エネルギー、蓄電、熱電併給などの手段を組み合わせて、災害に強くエネルギー効率の高い自立・分散型エネルギーシステムを構築することが提案されています。
 再生可能エネルギーについて、固定価格買取制度の導入が決定し、釜石市のように具体的な計画が進んでいる地域もあるのにくらべると、省エネルギーは出遅れている感が否めません。ようやく最近になって、住宅の断熱改修などを街全体で進める省エネルギー事業を検討する旨が、国土交通大臣によって表明されたところです。
 日本のエネルギー需要の約3割は家庭やビルなどの建物において消費されているので、断熱化や太陽熱利用などによってエネルギー使用量を大きく削減する「省エネ建築」の手法がたいへん有効です。被災地では、数万個の復興恒久住宅を供給する必要があると推計されていますが、これらを「省エネ建築」の手法で建てることは十分検討に値することではないでしょうか?
 また、被災地で省エネ建築が普及すれば、全国の新築とリフォーム(いずれも毎年30万件程度)の動向にも影響を与えるでしょう。その意味で、震災復興住宅を省エネ建築とするかどうかは、今後の日本の省エネ動向をうらなう試金石となるでしょう。

 本シンポジウムでは、省エネ建築(省エネ住宅)の諸技法によって具体的にどの程度のエネルギー使用量が減らせるのか、費用はどの程度かかるのか、また、そもそも居住者は省エネ住宅を望むのかどうか、といった重要な問題について、パネリストの皆さんに議論していただきます。
 パネリストは、専門家として、日本の省エネ建築の第一人者である東北大学の吉野博教授と省エネ住宅の先進国であるスウェーデン・ルント大学の研究者Maria Wall氏をお招きしています。また、住み手の考え方や行動が住宅の機能達成に大きな影響を与えることを踏まえて、被災地市民の代表として岩手県大船渡市三陸町越喜来地区震災復興委員会の事務局長を務める鈴木健悦氏、および、日本のマンションを購入しエコ改修を実施した、スウェーデン人環境コンサルタントのPeo Ekberg氏に、住み手の目線で議論に加わっていただきます。

 プレゼンテーションが約2時間30分、それを踏まえたディスカッションが1時間弱という長丁場ですが、ご関心・ご興味のある方の参加をこころよりお待ちしています。

2011年10月5日水曜日

原子力規制の基本テンプレ

「・・・を問題視した○○庁が平成○○年○月に○○○○に対する監督指針を改正し、○○に当たっては『過去のストレス時のデータ等、合理的な前提を踏まえた最悪のシナリオを想定した想定最大損失額について、○○が理解できるように』説明する必要があると明文化された。」

以上は、Wikipedia「仕組債」の文章において、いくつかの文字を白丸に置き換えたもの)。

これくらいは当然やるべき。
市場ですらそれを望んでいる(というか、むしろ独自に試算を進めている)ということだ。

2011年10月2日日曜日

エネルギー政策の討論番組

エネルギー政策について、根拠ベースで討論している番組が少ないなか、
現状で恐らく最も充実した討論番組が、
9月11日朝日ニュースターで放送された宮崎哲弥司会の4時間討論番組。

9/11(日)夜7:00~ 宮崎哲弥大論争スペシャル 
「震災を超克せよ! 震災、原発…4時間討論」
東日本大震災から半年。
この大災害から我々はどのように復興に向かうべきなのか。
また、今後のエネルギー政策をどのように考えていくべきか。
各政党の論客、専門家らとともにじっくり考えます。
 
復興・原発・エネルギー問題についての4時間の討論。

経済に精通したメンバーがいる中で飯田哲也vs澤昭裕の対決が見られたので、大いに満足。

どうやら風力発電の増加に合わせて火力のバックアップを増やす必要があるというのは本当らしい。澤氏によれば、ドイツでは火力を再び増やす計画だという。(※1)

(司会: 宮崎哲弥 
討論参加者: 岸博幸・飯田泰之・吉崎達彦・三橋貴明・澤昭裕・飯田哲也・大塚耕平・林芳正・桜井文城・穀田恵二)

ニコニコ動画に以下のタイトルでアップされています。
「三橋貴明出演 復興、原発…4時間討論~」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15620790
3分割のうち、2つ目と3つめが原発とエネルギー政策に関する討論。

(※1)
「どうやら風力発電の増加に合わせて火力のバックアップを増やす必要があるというのは本当らしい」と述べたが、一旦お金の具体的な値の話を切り放して、可能性を探ることも有益。
その場合、再生可能エネルギーの導入手順としては、例えば安井至氏の次の解説が分かりやすくて示唆的だと思う。
(電気以外のエネルギーを含めて、一から見直している。)
http://www.yasuienv.net/pg000007.htm

2011年7月27日水曜日

省エネだけで原子力発電を無くせるか?(超ザックリとした見積り)

東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故は、ついに、全国の原子力発電所を止めるかどうか、という大問題にまで発展してしまった。
原子力発電所のエネルギー供給は、日本における発電量の3割を占めると言われている。
国内の総エネルギー供給(石油・石炭・天然ガス・ウラン・自然エネルギーの合計)に占めるの割合でみると、原子力発電は全体の1割強である。

こんなに大きな割合を占める原発の供給電力量をゼロにしても大丈夫なのだろうか?
ということで、ザックリと見積もってみた。

まず、民生部門(業務部門≒商用ビル、および家庭部門=住宅)のエネルギー消費を、
ゼロエネルギー建築(または低エネルギー建築)へリプレイスすることによって削減することを考えてみよう。
民生部門におけるエネルギー消費は、日本の最終エネルギー需要全体の約3割を占める。(→ 図1)


このうちの約半分(つまり総エネルギーの約15%)が、冷暖房と給湯に費やされている。(→ 図2)
ゼロエネルギー建築(や低エネルギー建築)は、冷暖房エネルギーの大部分と給湯エネルギーのかなりの割合を削減することができる。
ここでは最大限の可能性を議論しているので、冷暖房と給湯のエネルギーをゼロにできると見積もる。

かくして、建築的対応によって最大で15%を減らすことが可能。

(実際、近年では、資材製造・建設・解体時に消費するエネルギーを含めたライフサイクル・エネルギーをゼロにできる住宅が販売されている。ただし、太陽電池の発電量が冷暖房エネルギーを相殺するとみるか、電気製品のエネルギー消費を相殺するとみるかは、議論の余地あり。)

これは、だいたい、原子力発電が、日本の総エネルギー供給(電力に限らない)に占める割合と同程度である。(→【脚注1】)



毎年の新築率は全ストックの3%程度なので、ずべて建て替わるまで30年かかる計算だが、新築率を5%まで上げれば、20年間で建て替え終える。(→【脚注2】)
新築以外にも、省エネリフォーム(改築)という方法もある。(が、その場合のエネルギー削減量は新築よりも落ちると思われる。)

(↑ 図1)





図2 2007年度における業務部門(左)および家庭部門(右)のエネルギー用途別内訳
(『エネルギー白書2009』から作成)
一方、冷暖房・給湯以外、つまり、アプライアンス(家電・OA等)や照明については、

今年7月からの電力制限令を実行して問題なければ、15%削減可能としてもよさそう。
15%はピーク電力の削減量だが、【脚注3】に述べる理由によって、
年間の積算電力量(つまりエネルギー)も15%削減できるとする。
(かなり乱暴だが。)

つまり、
3割×15%=4.5%


以上は民生部門についての見積りだが、電力制限令は産業部門にも課されている。

電力消費に占める産業部門の割合は全体の約4割だから、上述の理屈で、その15%
つまり全体の6%を削減できる。


これらをすべて合計すると(輸送部門での削減を入れないでも)、

25%程度のエネルギーの削減が可能であることになる。
(20年~30年かかる)。

原発のエネルギー供給をゼロにして、さらにお釣りがくる。
このお釣りは化石燃料利用の削減に使われるのだが、もちろんそれだけですべてを削減することはできない。
化石燃料は早晩高騰することは目に見えている。
また、CO2削減の観点からも削減が望まれるが、それを代替するには太陽光や風力などの自然エネルギーを増やすしかない。

なお、依然として、費用を誰がどう負担するかという問題は残っている。



------------------------------------------------

【脚注1】
15%という値は、
エネルギー転換の際のロス、つまり、発送電の際のロスや、燃料・ガスの精製の際のエネルギー損失を入れて考えるのかどうか、また同じことだが一次エネルギーに換算するのかどうか、
によってかなり変わってきてしまうのだが、
ここでは、ザックリとした議論を目指しているため、気にしないことにする。
(実際、【脚注2】の仮定による誤差のほうが大きい。)
なお、図3と図4を参照されたい。



(↑ 図3: 日本のエネルギー需給バランス
出典: 資源エネルギー庁『総合エネルギー統計(2004年度)』、経済産業省『エネルギー白書2007』、
字を大きくしてある)


(↑図4: エネルギー転換ロスを含めた場合の部門別消費割合)


【脚注2】
省エネという21世紀のビジョンに対して新築で問題を解決しようとする考え方には20世紀的なところがある。しかし、ここでは削減可能量の見積りなので、ご容赦いただきたい。
なお、大野秀敏他『シュリンキング・ニッポン』(鹿島出版会、2008年)を参考にされたい。

【脚注3】
電力制限令は、ピーク電力の削減に関するもので、厳密には積算電力量の削減ではない。揚水発電や蓄 電池導入、あるいは勤務時間のシフトなどは、積算電力量の削減にはつながらない。しかし、ブレーカーの容量を落としたり、機器をエネルギー効率の高いもの に買い換えた場合は、積算電力量も減ることになる。
(以下の図5・図6を参照されたい)。

(↑図5 ピークと積算電力量との関係 
出典: 緊急節電HP by 東京大学生産技術研究所 岩船研究室)

(↑図6 夏季ピーク電力の部門別割合(東電管内)。
全国の年間積算電力量の部門別割合と少しだけ違う。)


(初稿:2011年7月27日)
(7月30日修正: タイトル、図3)
(8月31日修正: 【脚注1】のあとに新たな【脚注2】を追加。(もとの【脚注2】は【脚注3】に変更)。また、冷暖房と給湯のエネルギーをゼロにできるとする理由を説明した。そのほか関連する箇所を修正。)

エネルギーとジェンダー

今日、ある女性芸術家にコンクリート打ち放し建築の悪口を言ってみた。

コンクリートは、その力強さと可塑性(曲面や複雑形状を実現できること)から、芸術表現に用いられてきた。(ル=コルブュジエ、オスカー=ニーマイヤー、ルイス=カーン、日本では、安藤忠雄、丹下健三ほか。)

しかし、エネルギー消費の観点からは、製造時にふんだんにエネルギーを消費するうえに、完成してからも、その巨大な熱容量が冷暖房負荷を増やす。ヒートアイランドの一原因でもある。 (もちろん熱量量はもろ刃の剣だ。きちんと設計すれば蓄熱・蓄冷を実現的できる。)(注1)

なんでこうなってしまったのか? それに対する、彼女の答えは、シンプルなものだった。

「それは男のロマンだからだ。」

ジェンダー論はあまり好きではないのだが、当たっている。

そもそも、バウハウスのときから、モダニズムは温熱環境には鈍感なところがあった。冬のバウハウスはものすごく寒かったのだ。

日本の場合、事情がやや異なる。
安藤氏や丹下氏の建築は、西洋のモダニズムと日本の伝統様式との見事な融合とみなされているのだが、
視覚的・形式的にはそうでも、自然の微気候を巧みに利用する本来の日本の伝統とは、中身がまるで違うのだ。

「絶対安心な原発もあるんですけどね。」
安藤氏は石原都知事との対談でそう言った。
(東京MXTV「東京の窓から」、7月16日)。
3.11以後に大きく方向転換をしたということだが、モダニズム、そして「男のロマン」からの脱却は難しそうだ。

だが、これは安藤氏に限ったことではない。
鉄腕アトムに始まって、原子力、いや先端科学技術のかなりの部分が「男のロマン」であったのだろう。

原子力導入の立役者である中曽根康弘は、最近になって「太陽エネルギー」国家への政策転換を明言した。
だが、その転換に不可欠な「省エネルギー」や「ライフスタイルの見直し」までは踏み込んでいない。

「太陽エネルギー」も、多分に「男のロマン」ではないだろうか。

世の中の人間の半分、そして(研究者を含む)フルタイムワーカーの圧倒的多数が男性であることを考えると、落としどころはこのへんなのだろう。


(注1)
コンクリート打ち放しは「定義によって」最外層が裸のコンクリートであるから、内側で断熱していないのなら、コンクリートにたまった大量の熱が室内に伝わる。
断熱するとしても、「定義によって」外側ではなく内側を断熱してあることになる。その場合結露防止の処置が必要なはずだ(防湿や空気層の挿入といった工夫)。(詳細は専門家に確認する必要がある)。


(注1補) 「軽量気泡コンクリート」(へーベル、ALC)は、熱伝導率・容積比熱ともに、木材と同じくらいである。(普通コンクリートの熱伝導率はこれらの約10倍、容積比熱は約3倍である。)
ヒートアイランドの原因となる因子はとしては、表面の熱的性質、たとえば、放射率(=吸収率)、反射率、外側表面熱伝達率などがあるが、これらは表面の幾何学的構造に影響を受けるので、ちゃんと調べてみないとわからない。ここでは、とりあえず軽量気泡コンクリートの(外壁としての)熱的性能は木材とそれほど変わらない可能性があるとだけしておこう。一方、「軽量気泡コンクリート」の強度などの力学性能については、まだ調べていない。


(以下、更新日と更新内容)
作成2011年7月26日。

訂7月27日。

二訂8月1日 
(アントニン=レーモンドの名前を削除。レーモンドの作風は大きく変化しており、中心はむしろ戦後の木造住宅(レーモンドスタイル)。自称技術史家として反省。他の建築家についても、単純化しすぎていないかどうかを確認する必要がある。不適切なら修正の予定。コメント歓迎します。
また、注(※)を削除(上と同じく、建築家の系譜について単純化の恐れがあったため)。代わりに、(注1)を追加。そのほか複数の表現を若干修正。)

三訂8月6日~7日
(注1への補注)を追加。(注1)の一部表現を修正。原注の生き残り(※※)を割愛(レイアウトが見にくくなったため)。

2011年7月2日土曜日

合意モデルでは環境にやさしいまちはつくれない (出典:Shinji 「サイクリングとデモクラシー」 2011.05.18 Wed.)

「持続可能なインフィル開発にとって重要な勝利」(Partnership for Sustainable Communities)

カリフォルニア州バークレー市の住民が、公共輸送機関ルート沿いに計画された98戸の高密度住宅開発の差し止めを訴えてきたが、このほど控訴裁判所は訴えを棄却する判決を下した。同市にはびこるNIMBYism(Not in my backyard,「俺の裏庭ではよしてくれ」主義)を乗り越えて環境にやさしい都市開発を進める、重要な転機になるかも[知れない]と伝えている。

バークレー市は「リベラル」(アメリカでは左寄りを意味する)な都市として知られており、環境問題に対する関心は一般に高い。一方、やはりリベラルな都市の特徴として、過去40年にわたって「合意の理想」(consensus ideal)を体現するプロセスによって、土地利用政策を実施してきたという。

ところがこれら合意づくりの場は、NIMBYismが幅を利かす場として機能してしまい、既成市街地を再開発して住宅を高密度に埋め込む(infill)計画が、周辺住民の反対によって阻まれてきた。公共輸送機関の便利な場所に高密度に開発を集める、環境にやさしい、つまりリベラルな施策が、住民合意を重視するリベラルなプロセスによって阻まれてきたわけである。

同記事は、強力な政治的リーダーシップの必要性を訴えて結んでいる。それはアメリカで今日意図される「リベラル」ではなく、古典的「リベラル」な民主主義の必要性を訴えているとも言える。


*********
以上、Shinji氏のホームページ 「サイクリングとデモクラシー」 , 2011.05.18 Wed., http://cycling.suizenji.boy.jp/?search=%B9%E7%B0%D5&submit=Search より引用。
Shinji氏の他の記事も秀逸ですので、ご覧になるのをお勧めします。

[]内は、筆者による捕捉。

なお、もとの英文記事は
http://www.p4sc.org/articles/all/important-victory-sustainable-infill-development
 

2011年6月20日月曜日

両面コピーはかなり省エネルギー(つづき)

前回投稿した記事では、紙に関する化石資源の費のマクロな数値(日本全体に占める割合)を記していませんでしたので、補足します。

日本における紙の消費量は以外に多く、日本人1人当たり年間0.2トンです。
また、紙1トン(再生紙を含む)の消費に対する化石資源の消費量は炭素換算で約0.3トンです。
したがって、1人当たり年間約0.06トンの化石資源を消費していることになります。

日本の全活動部門(製造部門・輸送部門・民生部門(ビル・住居)・エネルギー転換損失)における
化石資源の消費量は年間1人当たり約2.4トンですから、
紙に起因する化石資源消費は、全体の2.5%を占めていることになります。
これは、十分有意な量であると言えます。

参考文献:小宮山宏『地球持続の技術』(岩波書店、1999年)
(注):
CO2換算だと、化石資源消費量の表示は分子量に比例して約44/12倍になりますが、
もちろん相対比率は変わりません。

両面コピーはかなり省エネルギー

ある会議において、
「紙の消費エネルギーはたいしたことがないので、両面コピー機を採用してもそれほど省エネルギーにはならないのではないか」
といういう意見がありましたが、それに対する反論です。

たとえば、リコーの技術者がコピー用紙のライフサイクル・インベントリーについて論じた次の技術資料(論文)をご覧下さい:
http://www.ricoh.co.jp/ecology/history/presen/pdf/lca.pdf/ 

この資料によると、コピー用紙の製造・運搬・使用・廃棄というライフサイクルで消費されるエネルギーを評価すると、製造時に消費されるエネルギーが、コピー用紙の使用時のエネルギー、つまりコピー機の電力使用量(動作電力+待機電力)よりも、圧倒的に多いです。
コピー用紙1トン当りの電力使用量は
95kWh(≒340[MJ])  (1次エネルギー換算ならだいたい1000[MJ])
であるのに対して、
コピー用紙1トンを製造するのに必要なエネルギーは、上記論文にあるグラフから見積もると、だいたい
30000[MJ]
です。
つまり、約30倍(1.5桁)違います。

従って、両面コピーによってコピー用紙の使用枚数を半分にすることは、コピー機の消費電力を減らす努力よりも、ずっと効果的です。

ただし、使用済みのコピー用紙からトナーを除去して再使用する「剥離除去」が普及すると話は別です。
上述の技術資料によると、剥離除去に要する電力量は、コピー用紙1トンあたり約940kWh で、用紙の製造エネルギーの3分の1くらいですから、剥離除去によるリサイクルを行うほど紙の製造エネルギーは減っていきます。
(ちなみに、通常の古紙再生では、新生紙の製造エネルギーと同程度のエネルギーを必要とします。)

また、コピー用紙の使用に伴うエネルギー消費には、コピー機の消費電力に加えて、消費したトナーの製造またはリサイクルのエネルギーがありますが、それほど多くないようです。
私が使っている Brotherのコピー機の製品情報によると、コピー機のライフサイクルで使われるエネルギーのうち、電力消費の割合が約65%で、トナーに起因するエネルギー消費は多く見積もっても 35%です。

結局、コピー用紙を使うときに消費するエネルギーは、消費電力エネルギーとトナーのリサイクルエネルギーをあわせても、用紙を製造するときのエネルギーよりもはるかに少ないわけです。


以上の比較に加えて、コピー機の原材料の鉄やプラスチック、ガラスなどの製造エネルギーとの比較も、しておいた方がよいでしょう。
コピー機1台の製造に使われる鉄・プラスチック・ガラスの製造時エネルギーと、同じくコピー機1台が消費する紙の製造時エネルギーとは、だいたい同じくらいのエネルギーになります。
ただし、1台のコピー機がそのライフサイクルでA4用紙48000枚を使うと仮定しました。その場合、使用する紙の重さは合計で、約0.2トンになります。

2011年5月1日日曜日

「朝まで生テレビ」4月29日(金) (後半の論点)

4月29日(金)の「朝まで生テレビ」の後半から、重要な論点をいくつかメモしておく。
(敬称略、発言時刻の順不同)。

・現在提示されている賠償プランは、東電の独占を固定してしまい、エネルギー構造を変えない点で問題だ。(飯田哲也、番組の最後の方で)。

・復興会議は、実のあることを決めることができないように構成されている。(すべての出席者異論なし)。意図的にそう構成された(異論なし)。マスコミ関係の委員は宣伝担当だろう(特に増税問題の宣伝)(長谷川幸洋)。

・増税の話が復興会議が議論されるのは不適切。予算委員会や税調と他のところで議論すべき(大塚耕平(民主))。

・復興会議は増税を言いたいがために財務官僚が設置を画策した可能性が高い(高橋洋一、他複数が同意の発言)。

・国債発行について。建設国債なら今すぐ発行可能、償還60年(高橋氏)。海外から見れば建設国債は赤字国債と区別がつかず財政規律破りと見なされるから、やはり用途を復興に限った国債にすべき(平野達男(民主))。無期限国債の発行を検討べき(大塚耕平(民主)、高橋氏)。

・震災復興(原発賠償を含む)のための必要総額は、おそらく、30兆円を越す。(大塚氏)。当面の国債発行は、毎年5兆円くらいを4~5年(齋藤氏、大塚氏)。

・三陸は漁場さえ無事ならば、復興できる。原発事故終息が最大かつ緊急の課題。漁場が汚染されたら、三陸の復興はない(小野寺五典(自民・宮城県))。

・東北地方選出議員は、現地常駐&連携 &共同で政府と交渉。(田原氏提案、小野寺(自民・宮城県)、平野(民主・岩手)、他複数が頷く。)

・東北地方で国会を開催。(齋藤健氏(自民)提案、大塚氏他も頷く。)

・東電処理、結局は、税金か電量k料金となって国民負担となる。まずは資産をすべて吐き出させる。(齋藤氏)。

・送電網を開放すれば、電気料金は安くなる可能性がある(荻原博子)(齋藤氏頷く)。(筆者注:自然エネルギーなど他の電力供給業者のコストが下がるということか?)

・東電の存続を前提にしない。発電と送電を分離、電力自由化(長谷川幸洋)。

・広島長崎で被爆したあるいはその関係者で、戦後原子力の分野に来た(第一世代の)研究者や技術者の中には、「原発でかたきをとる」という考えの人たちがいた(石川迪夫)(筆者注:全体の議論には関係がないが、逸話としては歴史学の対象となるかも。石川氏の他の発言をみると、この逸話の信憑性は要検証。)

・岩手県・宮城県・福島県の3知事が広域連合を宣言し、中央政府は権限をそこに委譲する(現行法で可能)。。中央の官僚や政治家は(地元選出議員を除いて)現地のことはよく知らないので、出すお金の総額だけ決めて、口出ししない(高橋氏、大塚氏、他複数首肯)。

2011年4月15日金曜日

太陽電池の効果のシミュレーション

ある事業所の建物に太陽電池を載せた場合の効果をシミュレーションしてみた。
ある年の7月の電力ピークの前後。ピークが緩和されている。しかし、同じシミュレーションによって、かなり暗い曇天だったら効果が少ないことも分かっている。(NT)

屋上緑化 vs. 他の省エネ方策

下記節電レシピに、注として費用対効果が少ないとのコメントがある。

節電パッド (e-saving recipes): 今すぐ屋上の緑化、断熱対策を始めよう。

これに関連して、

屋上緑化と他の省エネ方策の効果の比較を、
田中俊六氏が解説している:
http://www.nikko-pb.co.jp/photos/logmok/k_0311.pdf

しかし、私としては、緑化そのものの意義も、別次元で評価したい。(NT)