2011年10月11日火曜日

復興費用の財源は、国債の日銀引き受け?それとも増税? (その3)

シロートが勉強しながら論を進めるよりも、複数の専門家のバトルを見た方がよっぽど役に立つことに思い至った。
そこで、方針を変更して番組紹介をする。

2011年9月17日放送の「たかじんNOマネー」(テレビ大阪)は、
三橋貴明の主張を、竹中平蔵氏ら他のパネリストが評価するという形をとった。
(出演:やしきたかじん、三橋貴明、竹中平蔵、岸博幸、青山繁晴、大谷昭宏、眞鍋かをり)

トピックは、
野田政権の復興増税、円高への対応、 TPP、財政破綻の可能性、
の4つ。

この番組の動画は、例えば、以下のサイトで見ることができる。
http://varadoga.blog136.fc2.com/blog-entry-6680.html
http://channel.pandora.tv/channel/video.ptv?ch_userid=sasa3344&prgid=43394756

百聞は一見にしかず、ご覧あれ。50分間を割く価値は充分にあると思う。


竹名氏が経済学者らしくロジックに従ってとうとうと論ずるのを初めて見た。
岸氏も
「竹中先生、経済学者みたいですね、今日。彼、いつも政治学者っぽいんです、プライベートでは。」
と感想を述べている。

2011年10月9日日曜日

復興費用の財源は、国債の日銀引き受け?それとも増税?(その2)

直観的には、増税は金融引き締め、国債発行は緩和であるから、正反対の施策ということになると思う。
同じ現象に対して、そこまで処方が異なるということがあり得るのだろうか?

復興財源として国債(60年償還)の日銀引き受けを主張している人は、複数いるが、一般読者にも検証可能なように丁寧かつ分かりやすく論ずる能力は、三橋貴明氏が一番たけているように思う(→注1)。
一方、「増税」を主張する論者としては、正直誰をフォローすればよいのかわからないのだが、野口悠紀雄氏の本や記事は、一般読者による検証可能性を意識しているように見える。どういうモデルに依拠したのか、また、どこからが独自の仮説なのかが明示されているという点で良心的と言える。
(もちろん、だからと言って主張に賛同しているわけではない。)

さて、国債を発行してお金の量を増やしても、市中銀行の企業や市民に対する貸し付けが圧迫されてしまったら元も子もない(さすがに被災地域の住宅・建設・土木に関しては貸し付けが増えるものと筆者は期待する)のだが、この点について野口氏は、銀行が貸し付けに消極的で資金を国債購入する傾向は、長年の銀行の体質(流動性の罠)であって克服するのは難しいとみている。

円高については、 三橋氏・野口氏ともに、為替介入(政府短期証券発行→円→ドル→米国債購入)のために損失を出すのには反対という点で一致しているが、詳細は違う。
三橋氏は、円高の原因が、米欧の中央銀行が自国通貨の供給を大幅に増やす量的緩和を行っているからだとし、円の通貨供給量を増やすことで円高を是正することを主張する。これは同時にデフレ対策にもなる。その結果、均衡レートは今より円安になるはずで、あとは輸出企業の自助努力次第だというのが三橋氏のスタンスだと思われる。
他方、野口氏は、対米資産の取り崩し・売却、および、製造業からサービス産業へのシフトを主張する。
ただし、前者は、米国の怒りを勝って他の面で不利益を被る可能性があり、後者は構造転換なので時間がかかるものと推測される。

(注1)
小泉政権で金融政策を担当した高橋洋一氏も金融緩和を主張している。
三橋氏と高橋氏の違いで面白いのは、両者とも、マネタリーベースの拡大によって円高を緩和する処方を主張しているが、その規範的な帰結が違うというところだ。
高橋氏は、輸出の多い企業はエクセレント・カンパニーだから、日銀が円を増やさないのは怠慢だと言う。一方、三橋氏は、なぜごく一部の輸出企業のために為替介入して損を出さなければいけないのか、と輸出企業に対して厳しい。



【お断り】
筆者は、経済・財政・金融に関しては全くのシロート(せいぜい教科書程度)であるが、一有権者として、事態の推移を見守っているところである。
コメント&間違いの指摘を大歓迎!!


(修正履歴: 
・2011年10月12日、文中の括弧注を(注2)に移し、さらに修正・加筆。
・2011年10月13日、
三つ目の段落から、「国債を日銀引き受けとする処方はそれを意識しているはずである。三橋氏も当然考慮している」を削除 (推測の部分が大きいので)。
同段落の、「長年の銀行の体質」のあとに、括弧とともに「流動性の罠」の語を追加。
また、(注2)を削除した (公共事業・直接金融、および、公的インフラ被害と私的インフラ被害の比率について言及しようとしたが、勉強不足の恐れがあり削除した)。
そのほか、大意を変えない範囲で小幅な修正をした。

2011年10月7日金曜日

復興費用の財源は、国債の日銀引き受け?それとも増税?(その1)

筆者は、経済の専門家では全く無いのだが、復興費用をまかなう手段として専門家たちの間で挙げられている2つの施策
(a) 国債(60年償還)の日銀引き受け
(b) 増税
のどちらが正しいのか、その決着をかたずを飲んで見守っている。

学者や評論家といった専門家の間でも意見が分かれているが、力量のある専門家の間で互いに検証な形で議論なされない限り、国民は検証可能な手段を持てず、官僚、政治家、マスメディアおよびロビー団体の間の力学しか観察できず、かつ、結果を知った時にはすべてが決まっている、ということになっていしまう。

(従って、論争内容と同時に、意思決定プロセスについてもモニターする必要がある。
そちらは、政府等の内部事情に詳しいフォローされたい。例えば、長谷川幸洋氏と高橋洋一氏がよいかと思う。)

さて、上記、二つの対立する説のうち、
(a)を主張する専門家として、三橋貴明氏を、

(b)を主張する専門家として、とりあえず野口悠紀雄氏選んだ。

「その2」でさらに説明を続けるが、先に文献を紹介しておきたい。

まず、三橋氏の主張は、ネット上で多数閲覧することができるが、
例えば、日経ビジネスオンラインの記事
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110510/219901/
を参照されたい。

野口氏の著書は次の2冊を参照した。 
『日本を破滅から救うための経済学』(ダイヤモンド社、2010/7/29) 
大震災からの出発 ―ビジネスモデルの大転換は可能か』(東洋経済新報社 、2011/7/8
これら二冊の出版の間に、東日本大震災が起きているが、理論枠組み・結論ともに変わっていない。

同氏はまたネットにも多くの記事を書いている。
例えば、ダイヤモンド・オンラインの、
http://diamond.jp/articles/-/12245
http://diamond.jp/articles/-/14313
参照されたい。


(履歴: 2011年10月9日大幅修正。)

2011年10月5日水曜日

原子力規制の基本テンプレ

「・・・を問題視した○○庁が平成○○年○月に○○○○に対する監督指針を改正し、○○に当たっては『過去のストレス時のデータ等、合理的な前提を踏まえた最悪のシナリオを想定した想定最大損失額について、○○が理解できるように』説明する必要があると明文化された。」

以上は、Wikipedia「仕組債」の文章において、いくつかの文字を白丸に置き換えたもの)。

これくらいは当然やるべき。
市場ですらそれを望んでいる(というか、むしろ独自に試算を進めている)ということだ。

2011年10月2日日曜日

エネルギー政策の討論番組

エネルギー政策について、根拠ベースで討論している番組が少ないなか、
現状で恐らく最も充実した討論番組が、
9月11日朝日ニュースターで放送された宮崎哲弥司会の4時間討論番組。

9/11(日)夜7:00~ 宮崎哲弥大論争スペシャル 
「震災を超克せよ! 震災、原発…4時間討論」
東日本大震災から半年。
この大災害から我々はどのように復興に向かうべきなのか。
また、今後のエネルギー政策をどのように考えていくべきか。
各政党の論客、専門家らとともにじっくり考えます。
 
復興・原発・エネルギー問題についての4時間の討論。

経済に精通したメンバーがいる中で飯田哲也vs澤昭裕の対決が見られたので、大いに満足。

どうやら風力発電の増加に合わせて火力のバックアップを増やす必要があるというのは本当らしい。澤氏によれば、ドイツでは火力を再び増やす計画だという。(※1)

(司会: 宮崎哲弥 
討論参加者: 岸博幸・飯田泰之・吉崎達彦・三橋貴明・澤昭裕・飯田哲也・大塚耕平・林芳正・桜井文城・穀田恵二)

ニコニコ動画に以下のタイトルでアップされています。
「三橋貴明出演 復興、原発…4時間討論~」
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15620790
3分割のうち、2つ目と3つめが原発とエネルギー政策に関する討論。

(※1)
「どうやら風力発電の増加に合わせて火力のバックアップを増やす必要があるというのは本当らしい」と述べたが、一旦お金の具体的な値の話を切り放して、可能性を探ることも有益。
その場合、再生可能エネルギーの導入手順としては、例えば安井至氏の次の解説が分かりやすくて示唆的だと思う
(電気以外のエネルギーを含めて、一から見直している。)
http://www.yasuienv.net/pg000007.htm